【書評】中島らもの特選明るい悩み相談室 その1

『中島らもの特選明るい悩み相談室 その1』(中島らも)

中島らもさんの本を読みたいけど、何から読もうか悩んでいる人におすすめの一冊!

70個の悩みと答えが書いてあります。

1つの悩みが2ページで書かれているので、どこからでも読めます。

私が特に面白いと思った悩み相談を3つ紹介します。

【1つ目】p.61 “やっちゃん”風ドスきかす妻

がらの悪い妻に困っているというお悩み。

らもさんは「リラックスします。」、「気楽で最高です。」と答えています。

上品って憧れますが、どこか窮屈なんですよね。

あらゆるものを汚してはいけないし、美しいことが正義!みたいなところがあります。

がらが悪いと、テキトーで当たり前、ガサツで当たり前な感じです。

だから余裕が生まれて、安心感があります。

何か困ったことがあったら、心の中で「やんのかー、こらー」精神でいたいものです。

【2つ目】p.64 特売卵買い込む母のゆで卵攻め

お母さんが特売の卵を買い込み、腐りそうになったらゆで卵ばかりになるというお悩み。

ここでらもさんの名言

卵の悪口を言うとは何という大それたことをするのですか。この世の中で卵ほどエラいものはありません。(中島らも,2002,p.64)

全くもってそのとおりです!!

私も大の卵好き。

らもさんは失職した9ヶ月間、奥様の実家が養鶏場だったので、卵だけで露命を繋いだそう。

こんなに長い間同じものを食べられるでしょうか。

卵って本当にすごいと思います。

『豆腐百珍』という本があるそうで、その卵版の『卵百珍』という本もあるそうです。

卵だけで百種類の料理ができるというものです。

『卵百珍』を読んで、実際に料理してみたいですね。

らもさんが暑気ばらいに「卵なべ」なるものを紹介しているのですが、とてもおいしそう。

この夏早速やってみるつもりです。

<簡単なレシピ>

土なべに鳥のスープをはる。

ニラのザク切りを山のようにほうり込む。

タカノツメを粗くちぎったものを、山のようにほうり込む。

溶き卵を食べる分だけ「の」の字を書くように流し込む。

完成!

煮えばな(沸騰した直後)をすくって大汗をかきながら食べる。

書いているだけで喉が鳴ります。

卵を5個は入れたいですね。

【3つ目】p.145 老母の格言もどきは消えゆく文化?

母はシャレやユーモアが通じないのに、格言もどきをつぶやくというお悩み。

1996年において、70~80代のお婆ちゃんには「口撃術」の文化があったのではないかと答えるらもさん。

へらず口の達者なお婆ちゃんがたくさんいるようなら、「勝ち抜きへらず口トーナメント」をしてみたいそうですが、私のおばあちゃんにも出てほしい……。

私のおばあちゃんは、今は寝たきりなのですが、元気な時はおしゃべりでよく笑わせてくれました。

私があの俳優さんがかっこいい!といろんな人を挙げていると、「あんたは材木屋やな」と言うのです。

どういう意味か聞くと、「木(気)が多い」

大爆笑です。

また、私の叔母(おばあちゃんの娘)が「何か買ったろか」など、実現しそうもない調子のいいことを言うと、「うどん屋の釜やな」と言うのです。

「湯(言う)だけ」

大爆笑です。

私のおばあちゃんが全盛期の頃ならベスト8くらいには残ると思うのですが、どうでしょう。

【まとめ】誰しも「わかる!」エピソードがある一冊

70個もお悩み相談があると、1つくらいは自分にも関係することが出てきます。

そして何と言っても全てにおいて「笑い」があるのです。

巻末のエッセイで本上まなみさんが以下のように述べています。

彼のどんな文章を読んでも「笑わせなあかん」という、宿命というか、業を感じてしまうのです。(中島らも,2002,p.229)

笑わせるってすごく体力がいるというか、大変なことです。

それをこんなにたくさんこなしてしまうのですから、らもさんは素敵です。

その2も読んで、書評を書きたいと思います。

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